長年のネガティブ思考は本当に変えられるのか?

1.ネガティブ思考とは?

「わたしってネガティブ思考なんです・・・」
こんな風に会話の中でもよく使われる「ネガティブ思考」という言葉
みなさんはどんな意味に捉えていますか?

デジタル大辞泉によると、ネガティブ思考はこうあります。
「何かにつけて、どうせ失敗するさ、
私はだめなんだなどと悪い方向に考えが向くこと。」

つまり、
・起きた事や人に対して否定的な視点で捉えがち
・これから起きることに対して悲観的な考え方をしがち
・状況や人に対して欠点や問題点に意識が向きがち

【ネガティブ思考の具体的な例】

・何かやろうとすると失敗するイメージが湧いてきて一歩を踏み出せない
・落ち込みやすい。一度落ち込むとなかなか立ち直れずに引きずる。
・自分に自信がない。
・何かにつけて人と自分を比べて落ち込む
・ちょっとした人の言動が気になってスルーできない。
・自分にダメ出しばかりしてしまう

2.そもそも人はネガティブな生き物

あなたには当てはまる項目はありますか?

ネガティブ思考の具体的な例に
あなたに当てはまるものが多いとしても・・・

落ち込む必要はありません。

そもそも人はネガティブな生き物ですから、
当てはまるとしても普通のことだからです。

ちょっと想像してみてください。
数万年前のあなたのご先祖さまのことを。

猛獣がウロウロする夜中に無防備に出かけたり、
飢饉に備えずにありったけの食料を平らげてしまう

そんな超楽観主義者だったら…。

あなたはこの世に存在していなかったかもしれません。

人類が種として生き残れたのは、

「まさかのケース」
「こうなったら困る」

というネガティブな可能性を
想定できる生き物だったからです。

その結果、
私たちの脳には本能として
ネガティブ思考が組み込まれています。
(これをネガティビティバイアスといいます)

3.ネガティブ思考がなぜ困るのか?(デメリット)

とは言っても、
一般的にはネガティブ思考は「良くないモノ」とされる場合も
多いですよね。

それはなぜでしょうか?

以下、ネガティブ思考による困りごとを
7つ載せています。

(1)ネガティブ感情に苦しめられる

出来事や人に対して否定的、悲観的に物事を捉えていると、
不安・イライラ・怒り・孤独など
常に様々なネガティブ感情に苦しめられることになります。

(2)やる気が出ない

自分に対する自信がないとやる前から「どうせダメだ」と
行動する意欲がわいてきません。
また、無意識のうちに自分の好奇心に
蓋をしてやりたいことが湧いてこないようにしてしまう
そんなことも起こりえます。

(3)本来の自分らしさを発揮できない

自分に対する見方が厳しかったり
悲観的であったりすると、
のびのびと自分の思った事を表現できなくなります。

(4)人間関係への悪影響

良い所よりも悪い所に目がいくというネガティブ思考が
人に対して働くと、
自分の価値観に合わない言動に対してイライラしがちだったり、
ちょっとした行き違いをサラリと流せずにこだわったりしがち。

また、相手の何気ない態度を
深読みしてネガティブに意味づけたり。

人付き合いがしんどくなる場合があります。

(5)自己成就予言によりネガティブな出来事が引き起こされる

自己成就予言とは、
「根拠の無い見立てや思い込みを持つと
人は無意識にその予言に沿った行動をとるために予言が現実のものとなる現象」
(アメリカ人社会学者のロバート・K・マートンが提唱、Weblio辞典より)

つまり、ネガティブ思考がネガティブな出来事を引き起こし、
結果、ますますネガティブ思考が強まる。
そんなマイナススパイラルに陥る可能性があります。

(6)周囲への悪影響

言葉は脳内にイメージを作り出し感情に働きかけます。
ネガティブな発言は自分だけではなく
家族や周囲の人にネガティブ感情を引き起こしたり、
やる気を削ぐ結果になります。
→言葉が作るセルフイメージ

(7)健康への悪影響

ネガティブ思考によるストレスが
心身の健康にも悪影響を及ぼすことは
様々な調査結果で明らかになっています。

このように問題点も多いですが、
実はネガティブ思考は悪いことばかりではありません。

4.ネガティブ思考のメリット

(1)身を守れる(自己防衛)

リスクを軽んじることなく、
ネガティブな可能性を想定することで
わたしたちは自分の身を守っているのです。

ご先祖様と同じですね

(2)問題解決能力や成長を促す

幸福学で有名な前野隆司教授が著者の中で、

日本人がもの作りやきめ細かなサービスを行う上で優れているのは
日本人が不安を抱きやすい民族であるからかもしれない

という主旨のことを書かれています。
(「実践ポジティブ心理学」)

また、
ネガティブな思考や感情がきっかけで
自分の課題と向き合い成長に繋がった

という経験をお持ちの方も
多いのではないでしょうか。

というわけで、

・ネガティブ思考はある意味普通のこと(本能に組み込まれている)
・ネガティブ思考にはデメリットもあればメリットもある

ということがおわかりいただけたでしょうか。

なので、あまり悪者扱いしないであげてくださいね

問題は強すぎたり、
あるいはコントロールできずに暴走してしまう時です。

5.ネガティブ思考の付き合い方と弱め方

ここからはネガティブ思考の弱め方と
上手な付き合い方を書いていきます。

(1)自分の思考パターンに気付く

一言でネガティブ思考といっても
いろんなパターンがあります。
自分がどのパターンに当てはまりやすいかを
知っているだけでかなり生きやすくなります。

→ネガティブ思考7つのパターン

環境や出来事、他人は思うように動かせませんが、
自分の考え方や捉え方は意図的に変えていくことができます。

ネガティブ思考の弱め方①「書いて思考を見える化する」
ネガティブな感情を感じた時に、
①引き金になったのはどんな出来事か?
②その時どんな考えが頭に浮かんだか?
③②で浮かんだ考えがネガティブなモノであった場合には「その考えは絶対に正しいか?」「他にどんな考え方ができるか?」「〇〇さんだったらどんな風に考えるか?」など、他の考え方も考え書いてみる。
頭の中で入り混じっている「現実と解釈」「思考と感情」をスッキリ整理して客観的に見るためのワークです。

(2)ネガティブなセルフトークを変える

セルフトークとは自分自身との対話のこと。
「どうせ無理」
「私なんか〇〇」
「いつも失敗ばっかり」
・・・
・・・
・・・
ネガティブな言葉を発していませんか?
声に出さないとしても頭の中で呟いていませんか?
アメリカの心理学者であり有名なコーチであるルー・タイスは、
セルフトークの影響の大きさをこんな風に表現しています。

「セルフトークで繰り返し自分に語りかけることが、
自己イメージと自分の信じるものを決め、それが行動に影響します。
セルフトークを変えることでこれまでの信念をくつがえさない限り、
行動を変えることはできません。」

セルフトークも含めた「言葉」を変えることで
潜在意識はこうした自分への語りかけの言葉を信じ、その言葉と一致するような行動をとらせようとします。
(「アファメーション」ルー・タイス著)

ネガティブ思考の弱め方①「言葉を変える」
自分に根付いた考え方や捉え方(ビリーフ)を変えるには
時間をかかる場合もありますが、言葉は100%コントロール可能です。
愚痴をやめる、悪口をやめるなど、生活の中から
ネガティブな言葉を締め出すことはできることです。

                                
(3)ポジティブな出来事にフォーカスする習慣をつける

前述したように、人の脳にはネガティビティバイアスがありますので、
ネガティブな出来事に意識が向き、記憶に留めやすいのは自然な事です。
そのためポジティブな出来事に意識を向けるには意図的な行為が
必要です。

ネガティブ思考の弱め方③「three good things~3つの良いこと」
毎晩寝る前に、その日あった「3つの良い事」を書き出す。
ポジティブ心理学の父と言われるマーティン・セリグマンが考案したエクササイズ。ネガティビティバイアスに対抗する効果がある、というデータがある

(4)自分の強みを活かす

「自分の強みを活かす」と言葉で言うのは簡単ですが、
私たちは自分の苦手や欠けているところに目が行きがちです。
でも、最近の研究では、弱みの克服よりも強みにフォーカスする方が
感情的にも仕事の成果でも健康面でもプラスに働くことがわかっています。

ネガティブ思考の弱め方④「人格の強みVIA-IS」
強みには行動特性としての強みと人格徳性としての強みがあります。
後者を診断するツールにVIA-ISがあります。これを調べる事で、ご自分の人柄の強みがわかりますので「活かすためにどうするか?」と考えることは強みにフォーカスする生き方のヒントになります。
(ネットで無料で診断できます。)

(5)目標を持ち実現に向けて取り組む

自信を持つために有効な方法が目標に取り組むこと
目標に向かって努力する、そのプロセスの中で気づきや成長が起き、
自己効力感(きっとできる、できそうという自信)が育っていきます。

ネガティブ思考の弱め方⑤目標を持つ
何か目標を決めて取り組んでみましょう。
その時に大切なのは
①「できる、できない」という結果にこだわり過ぎずに、取り組みの工夫や成長などのプロセスを重視すること
②目標や方法は柔軟に見直すこと
③目標は自分の内面から湧いてくる本当に願うことを目標にすること

また、体調が悪い時、忙し過ぎてストレスフルな時にも
ネガティブ思考は起きやすいものです。

体調管理や時間管理も大切です。

以上、ネガティブ思考との付き合い方と弱め方をご紹介しました。

全部を取り入れる必要はありません。
良かったら、ご自分に合いそうなものを
一つか二つだけでも取り入れてみてくださいね。
きっと長年のネガティブ思考が変化していくと思います。

どんな考え方をするかによって日々の感情が変わります。
ネガティブな感情が減り、
代わりに穏やかな気持ちや楽しい気持ちが増えたとしたら・・・。

人生への満足度が上がりますよね。
この記事がご自分の思考パターンを見直し
より良い人生を送るきっかけにしていただけたら嬉しいです。

考え方や捉え方を変えるためのサポートは
「捉え方Reデザインコーチング」で承っています。

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